思うように資金調達ができない方へ -2331ページ目

なぜ?銀行は保管証明を発行したがらない

2月23日



今日は、本来は、昨日の続きのコンサルタントについてもう少しお話をしたかったのですが、明日需要な顧客のコンサル会議があり、あらかじめお客様よりお送りいただいた、財務諸表と事業計画書の下調べをする必要があり、今回は少し手抜きをさせていただきます。

手抜きといっても、内容はいつも銀行に対して疑問と不満のある、会社設立時の資本金(出資金)の保管証明書の発行の問題です。

会社にお勤めの方のように創業者と認められる場合は、皆様よくご存知の1円の資本金でも設立が可能な、確認株式会社あるいは確認有限会社で起業が可能です。

ただ会社経営者が何らかの理由で別に会社設立する場合は、確認株式会社及び有限会社の設立はできず、通常の有限会社であれば出資金300万円、株式会社なら資本金1000万円を用意して設立をしなければなりません。

たとえば既存の会社を整理し、新規の会社を作るような場合、事業再生案件では良くあることなのですが、資本金などを準備するだけでも大変であるのに、更に大変なのが、「資本金や出資金がありますよ」と、登記するときに必ず必要になる払込金保管証明書の発行を、なぜか銀行、信金はスムーズに発行しないところが多く、この段階で会社設立が頓挫し、大幅にスケジュールの遅れを余儀なくされることがあります。

以前から銀行は発行したがらない傾向がありましたが、最近は信金でも「審査が必要である」「実績を見てからにしたい」とか言って、紹介者がない場合には発行を実質上拒否することが多くなっています。

この現象は、ひょっとすると、弊社がある東京および近郊に立地する金融機関のみのことかもしれませんが、起業をどんどん進めて経済活性化を図る必要がある時なのに、逆行する重要な問題でないかと常々憤っているところです。

私も数多くの銀行とお付き合いをさせていただいていますので、当然親しい銀行員も多く、弊社にも銀行出身の者がいますので、「なぜこんなに保管証明書を出したがらないの?」と質問して、なるほどと合理的な回答を聞いたことがありません。

マネーロンダリング、カルト的な宗教団体やテロ支援会社などなど、いろいろな理由を聞くのですが、会社設立を促進して経済の活性化を図る、また金融期間にとっても新規顧客を獲得できるビジネスチャンスなのに、なぜ発行を渋るのか、私は全く?です。

枝葉末節な問題と思っているのかもしれませんが、小泉首相や竹中大臣からも、この件についての発言を私は聞いたことがありません。

これはじっ魂にしている銀行員から聞いたのですが、「面倒くさい割りにメリットがない」あーびっくり、いやになってしまいますね。

なんで?と、コンサル業務をしていて、本当に首を傾げたり、憤慨したりすることが多々ありますので、ブレイクタイムと言う新しいテーマを設けて、時々常日頃の疑問に感じることを書いていきたいと思います。

明日は前回の続きを書く予定です。
また良かったら読んでくださいね

悪徳コンサルタント

2月22日

私もコンサルタントの一人ですので、悪徳コンサルタントなのかどうかは自分で判断はできず、偉そうなことは言えたものではないのは承知の上ですが、今日は、前回、前々回のM氏やA氏のように、思うように希望する資金調達ができない状況に陥った方がよく被害にあう、正真正銘の悪徳コンサルタントの話をしたいと思います。

まずA氏が500万円の被害にあった件をお話しますが、結構我々仲間内では有名な話ですので、申し訳ありませんが少し脚色をさせていただきます。

A氏は弊社がお断りした後、様々な方、友人、顧問税理士、政治家などの方々に資金調達先の紹介を依頼して奔走されたようですが、友人の紹介で、海外の個人投資家が、有望なビジネスには売上と同等額から最高10倍まで、その内容によって投資するという話を聞きつけました。

実はこの話を、当時私も聞いており、良くあるインチキ話だなと思っていました。なぜかと言えば、資金調達ができる前に500万円の手数料の支払いが必要だったからです。

今日の結論になってしまうのですが、資金調達コンサルタントで、着手金や入会金名目で、資金調達がどうなるか分からない段階で、先にお金を要求するコンサルタントは95%(99%でないのが微妙なのですが・・・)着手金や入会金取得が目的であると思われるからです。

私もこんな仕事を長くやっていると、本当にいろいろな資金の話が舞い込んできます。小額の寸借詐欺から、今回のような多額の被害を与える詐欺、あるいは○資金まがいの話まで、多分一般の方には信じられないぐらいの内容と種類のインチキな資金話があります。

このA氏の場合は、なかなか巧妙で、まず投資家との面談のため、投資家の会社がある○○○○○○国まで来て欲しいと言われ、条件も年間の金利(この場合は配当のことですが)も異例に低く、投資期間も5年毎の見直しで継続も可能、他のコスト500万円で全てOK、しかもこの支払いが、「面談後審査が通り、投資が決定した契約後の支払いで良い」と言うような、不安要素はあるものの、面談には行っても良いかなと思わせるような内容であったようです。

約2億円の資金調達をどうしてもしたいA氏は、悪い話ではないと思い、投資家との面談に、他の面談希望者10数名ととともに行った訳です。

その国に着くや否や、高層ビルの中にある豪華なオフィスに連れて行かれ、更に夜には投資家の自宅でウェルカムパーティーまであったそうで、A氏はオフィスも自宅も非常に豪華なことに驚き、もはやこの投資家を疑う気持ちはなくなったそうです。

翌日個別面談があり、その翌日の朝に投資が決定したことを告げられ、その日の午後に契約を迎えました。

この辺りからいよいよ問題なところなのですが、A氏は弁護士費用やその他諸々の事務経費などの500万円の支払いを、帰国後、3日以内に支払うことと言われました。投資された資金の入金が約1ヵ月後の予定ですから、もちろん入金までの間はコストとして支払った500万円は何も保全されないことは分かっていたそうですが、この何日間の体験で、500万円が危険ではないかと言う懸念はきれいに払拭されていたそうです。

ここからはもう予想されるように、投資を信じて500万円を支払った後は、いろいろ紆余曲折はあったものの、結局のところ入金はありませんでした。

以上が、A氏が被った詐欺の内容なのですが、決してこのA氏は詐欺に引っかかるような人物ではありません。事業も今までは、固く固く頑張って来られた方で、一攫千金を望むような方ではないのですが、既存の事業に限界を感じられていた矢先の、有望と思われる新規事業の資金調達で焦っていたため、このような詐欺にあわれたのだと思います。

A氏は現在も弊社のお客様なので、このブログで書くことの了解を得ていますし、今では笑い話になっていますので、多分このブログも読まれる筈ですが、
大抵このようなインチキに引っかかる方は、資金調達に苦しんでいらっしゃる時がほとんどですから、場合によっては、A氏のように笑い話ではなく、破綻につながることも多々ありますので、本当に注意したいものです。

A氏の件のような、物語のような話はそれほどありませんが、着手金、入会金、登録料、必要経費の前払い金などの名目で、数万円から100万円程度の支払いを先に求める資金調達コンサルタントも結構いるようです。

数万円の必要経費の前払いや相談料、あるいは事業計画書作成を依頼した場合を除いて、このような先払いを要求するコンサルタントとは付き合わないのが、ともかく懸命だと思います。

着手金を取って、資金調達も成功するコンサルタントはあまりいないので、ご注意下さい。

念のために申しますと、弊社は資金調達が終わるまで、一切経費などはいただいておりません。(笑)

失敗した経営者の実例 1-2

2月21日

前回の続きです。
今回は、前回のM氏のどこが判断としてまずかったのか、整理してみたいと思います。

申し分けありませんが、前回の(ケース1 創業期編)を今一度読み返してください。

まず一代理店よりビジネスチャンスが期待できる開発製造販売事業に変更されたことは、決して誤りではないと思います。
ファナンスの面でも、他社の代理店としての事業よりも、オリジナルティーのある開発製造販売事業の方が、有利であることは事実です。このことの詳細は別の機会にお話しすることになると思います。

ところが今回の場合は次の点で判断に誤りがあったのではないかと思います。
①資金の確保なく、新しいビジネスに参入した。
②資金調達の時間的な余裕がなかった。
③事業の根幹になる機器の開発者の技術や人物の調査ができていなかった。
他にも要因があるかもしれませんが、主な誤りはこの三つだと思います。

①②③の要素はそれぞれリンクしていますが、一つ一つの要素をもう少し説明いたしますと次のようになると思います。

①の観点から
簡単に言えば順番が違ったと言うことです。計画する事業の予算を考え、必要な資金手当てができることを確認してから、この事業に参入することを決定するところを、まず「何が何でもこの事業に参入するぞ」と決定して、それから必要資金の手当てに奔走するというように順番が逆になってしまっています。

②の観点から
ですから事業参入を決定しているため、その事業に参入できるための必要条件と思い、開発者への契約料の支払いを絶対なことと考えた上、支払期日が3週間後と言う切迫した状況を作ってしまい、たとえば人脈から出資や社債の形で調達するとか、ベンチャーキャピタルからの出資を検討するとかの選択肢を、時間的な成約で閉ざしてしまったことが、高利の資金調達につながったと思います。

③の観点から
参入する事業の選択時に、やらなければならない調査を十分にすることなく、開発者の言動のみで信用してしてしまった結果、破綻してしまったわけですが、もし低利の資金調達ができていたとしても、事業が成立しなかった可能性が高かったと思われます。

ご相談に来られるお客様のお話を拝聴していますと、新規事業として様々なインチキくさい事業のお誘いもあるようです。
特に現在のような変化の時代は、既存事業に行き詰ったり、変革を求めて新規事業を考えないといけない場合もあると思いますが、この新規事業に参画し成功するのは結構大変です。
まず新規事業の資金調達が結構難しく、この例として最近あった実例をご案内いたします。

(ケース2 ベテラン編)
地方都市で20年にわたり広告代理店を経営されているA氏は、事業内容は新聞チラシ広告のウェイトが大きく、媒体の多様化や革新によって、ここ3年程前から売上利益とも横ばいから若干下降気味になっていました。
この時点でのA氏の会社の年商は直前期で2億5千万円、収支はトントンという状況でした。

たまたまA氏が所属するライオンズクラブに新規加入してきた、環境リサイクル事業をフランチャイズシステムのフランチャイジーのような形で経営するB氏と懇意になり、A氏は、B氏の事業内容をよく見聞きするうちに、自分の事業に限界を感じていたこともあって、B氏の事業が自分の事業よりも数段将来性があるように感じたと言います。

フランチャイズシステムならA氏も事業参入が可能と思い、必要な資金を確認したところ、土地建物、機械設備、運転資金などで2億円程度の資金調達が必要であると分かりました。

A氏は、地元の地銀や信金とは良好な取引を継続しており、公的資金を含めて7千万円の借入金があり、新規調達可能額は1千万円でした。

当然2億円-1千万円ですから、1億9千万円を調達しないと新規事業に参入できないため、新規調達先からの調達を弊社にご相談に見えた訳です。

まず弊社としては
①事業の根幹となる技術に対する信頼性と差別化ポイントの確認、事業計画の収益性、実現性、将来性を確認調査しましたが、確かにリサイクル事業の拠点をどこに置くかで、売上利益とも変わるものの、その可能性は高い事業と確認しました。

②A氏の会社の現状から、A氏単独では無理と判断して、資金提供の可能な事業パートナーを見つけることができないか?(できれば一人でもリサイクル事業に関連のある事業をやっている人が相応しい。)
また土地を借地でできないか?
以上2点を確認しました。
    
②の二つのポイントが可能であれば、建物は割賦、機械設備はリースで処理すれば、きついなりにこの事業の収益性から見て、実現の可能性があると思い、事業パートナーと土地の借地のポイントをご提案しました。

ところがA氏は残念ながら、利益が少なくなることと、人間関係の悪化を懸念して、どうしても最初は自分一人でやりたいので、ともかく、どこかから融資を、融資が駄目なら、資金提供をしてくれる会社か個人の方がいないかと、前回の創業期編のM氏と同じような状況になってきました。

地元の主な金融機関とは取引があるため、まず可能性のある都市銀行2行に無担保で運転資金の調達が可能かどうかを打診しました。

概算ですが、都市銀行の無担保融資は条件を満たせば、月商の1~2ヶ月が可能ですので、2行で4千万円~MAX8千万円の可能性がありますので打診したのですが、両行から融資は断られました。
この理由は何度もお話をしております自己資本率の低さと利益額の少なさが原因だったと思われます。

A氏は趣味がゴルフのため、4つのコースの会員券と自宅マンションが資産計上されており内部留保もないので自己資本比率が低く、業績の低迷で利益額の低さと相まって、非常に低い格付けとなったと思われます。

2行からの調達が難しいと言うことが分かった段階で、A氏単独では止めた方がよいとお薦めしましたが、聞き入れられず、お手伝いをこの時点でお断りをしました。

A氏はこの後とんでもないコンサルタントに500万円を騙し取られるのですが、この時点でリサイクル事業参入を一旦取りやめ、再度弊社にご相談いただくこととなり、その後は3名の事業パートナーを得て、今年の夏に開業予定となっています。
ただA氏にとっては今までの事業と全く違う分野の事業参入ですので、既存取引の金融機関には受け入れられていないため、本当に成功できるかどうかはこれからの状態です。

なんだ失敗の例ではないかと思われると思いますが、A氏の場合は前回のM氏の場合に比べて、資金の期限が切迫していなかったことが幸いしたのと、A氏長年の経験もあって、冷静さを失わず高利の資金に手を出さなかったことが致命傷にならなかったのだと思います。

でも500万円を騙し取られたのは、本当にもったいないと思われませんか?

自分も同業なので、偉そうなことは言えないのですが、絶対に不可能な資金調達を求めると、このようなコンサルタントに取り込まれるというお話を次回は書きたいと思います。