思うように資金調達ができない方へ -2328ページ目

してはいけない資金調達 4

3月7日

昨日は高金利の貸金業者の問題をお話しましたが、出資法に違反する会社は論外ですが、そうでない会社との付き合いは私も相当数あることは事実です。
中には何人かの友人もいます。

保証人の問題はあるものの、支払日と入金日がずれたような場合で、短期間でしかも確実に返済できる場合は、比較的手続方法も簡単で、手続に要する時間も短くてすむ上、1ヶ月ぐらいの期間であればそれほどの金利負担ではないので、十分に使う価値はあると思います。

ところがこのようなケースはほとんどないことも事実で、会社、社長と保証人の与信に重きを置く商工ローンなどの無担保融資の場合は、かなり財務内容が悪くなってから使う場合がほとんどです。言い換えれば銀行が貸してくれないからと言う場合や担保のない場合でしか、高金利の融資を好き好んで受ける社長はいないからです。

このため金融業者の友人から本音として聞きましたが、借入をする会社や社長よりもむしろ社外の保証人に重きを置いて審査をすると言っています。
言いかえれば20%以上の金利で長期間融資を受けて、100%返済されるとは思っていない、つまり最初から保証人から取り立てることを前提とした融資システムであると申しても過言ではないと思います。

ここに実は日本の金融業界の問題があります。

本来であれば、10%~15%のいわゆるミドルレンジの無担保融資も、銀行や信金などがやらねばならない市場であるのに、また上手くやると利益の上がるマーケットなのに、リスクを回避することだけに専心して、この部分を銀行以外の金融会社に依存しているところです。また依存された金融会社も、審査能力を上げるよりも、何人も保証人を取ることで担保しているので永遠に問題が続くことになる訳です。

商工ローンにしても、消費者金融にしても、大手と言われる会社には、銀行からあるいは系列のノンバンクを経由して多額の融資がなされています。

このようなビジネスモデルになっている背景には、日本独特の保証人制度がある事が問題で、特に根保証の問題はどう考えてみても近代国家の制度ではないと私は思っています。

根保証とは、たとえばAを貸主、Bを借主、Cを保証人としましょう。
平成16年9月1日に、BはAから100万円を貸りました。同日Cは連帯保証人となりました。
そして同年10月1日に、またBはAから50万円を借りました。
AはBに対して何度も返済するように請求しましたが、返済してくれません。そこで、AはCに対して請求をしました。

この事例において、もしCが根保証ではない保証人(一時的保証)であったのならば、Aに対して、9月1日借入分の100万円のみを支払う責任があります。
10月1日の借入については保証人になっていないのだから当然とも思えます。
しかし、Cが根保証を結んでいたのなら話は別です。 Cは10月1日の発生分についても責任を負います。
つまり、合計150万円分を支払う責任を負うのです。
AとBが何度もお金の貸し借りをしている間、Cは全てのBの債務に保証人として支払う責任を負うのです。

現在でも、保証限度額及び保証期間を定めない根保証がよくありますが、とても危険です。しかも、高金利の金融会社や業者の場合、ほぼ例外なく根保証である場合が多く、200万円の保証人だから保証人になったのに、2000万円の保証を求められるような事が起きるのです。
(一方で一度契約すると根抵当の範囲内で何度も借入が可能な便宜上のメリットもあることはあります。)

私も専門家ではありませんので、海外の事情がどのようになっているか正確には知りませんが、近代国家では珍しいシステムであると聞いたことがあります。
このあたりご専門の方がいらっしゃるならぜひ教えていただきたいと思っています。

ただ銀行も信用金庫も最近は、かなりいわゆるミドルレンジと言われる金利水準の融資も準備しているところが増えたことは、銀行や信用金庫の名誉のためにもお伝えしないといけません。

今までの常識だと年利が9%以上の融資を都市銀行がするなんてなかったと思いますが、現在は現実にあります。
金利が高いから喜ばしいと言うと、変なことを言うなと思われるかも知れませんが、それだけ銀行もリスクをとって融資をするようになったことだと思いますので、やはり喜ばしいことだと思います。

明日は銀行から融資を受ける手続方法などを、ご案内したいと思います。
再三申しているように、財務内容が悪い場合、銀行は融資をしません。
しかし、年利で2~3%前後の金利でのみ融資をしていた頃と違って、銀行から十分融資を受けることができる状況なのに、以前経験された先入観念で諦めている社長が多いことも事実で、お試しになることをお薦めするところです。

してはいけない資金調達 3

3月7日

まず葉月 晃氏の素晴らしいブログ(下記URL参照)をご覧頂きたいと思います。

多くの方がご存知の内容だと思うのですが、弊社にご相談に見える、多重債務を抱えた方、あるいは保証人になったために被害を被った方のお話を聞くと、とても葉月氏のブログの内容を理解されているとは思えない場合が多く驚いてしまいます。

こんなに経済問題の理由での自殺者や家庭崩壊が多いのに、
なぜマスコミがもっとこの問題を取り上げないのか不思議でなりません。

また政府も官庁も、もっと積極的にこの利息の問題や法的整理の問題について、なぜもっともっとこの問題の情報を発信しないのか全く理解に苦しみます。

マスコミや政府などから、もっと積極的に発信をすることによって、かなりの数の自殺者や家庭崩壊を防げると確信しています。

ご存知の方も多いと思いますが、念のために貸金業の利息に対する制限について簡単に復習してみたいと思います。

貸金業の金利は出資法という法律では年29.2%が上限ですが、
利息制限法では、元本金額が10万円未満の場合は年20%
10万円以上100万円未満の場合は年18%
100万円以上の場合は年15%
が上限です。

そしてこの出資法と利息制限法の差異部分をグレーゾーンと呼ばれています。

ですから、大抵の場合は弁護士に債務整理を依頼したり、法的整理などをするような場合は利息制限法で既定されている以上の金利を支払っている場合、払いすぎ分を精算できます。

以上のことから分かりますように、ほとんどの消費者金融や商工ローンは、みなし弁済規定など分かったような分からない屁理屈のような既定を根拠に、(あくまでも私見ですが)法律違反していると私は思っています。
このことに関連しますが、最近都市銀行が消費者金融と提携していますが、たとえばキャッシュワンやモビットのような商品の場合は、例外なく利息制限法以内の金利にしていることを見て笑ってしまいます。
私見の私見ですが、この辺りにも日本に蔓延る消費者不在、業界保護の問題点があると思っています。

まして出資法をも違反する高金利の貸金業などは、法律違反を日常的にやっているわけで、この世に存在してはならない会社です。

資金調達コンサルの仕事をしていて痛感するのは、事業を長期間にわたって維持成功するのは本当に難しく、事業にはリスクがつき物です。
でも失敗した場合、そのリスクを背負うのは当然としても、本来株式会社や有限会社は有限責任であるのにもかかわらず、法律違反の高い金利の上、社長と何人もの保証人に根保証などと言うとんでもない保証をさせ融資をし、返済をできない場合は社長と保証人の全人生を壊してしまうような債務履行を要求することは、いかに何でもリスクの取らせ過ぎではないかと私は思っています。

一度事業に失敗したら、2度と成功しにくい現状が、合理的に見て返済の無理な高金利の融資に走らせ、多数の自殺者や家庭崩壊を生んでいる現場を多数見てきて、私は絶対に高利の資金には手を出さないで頂きたいと思いますし、万一出して立ち行かない状況になったら、返済は中止して家族、親族の方や友人の方を巻き込まないで法的整理などをされるよう強くお薦めしています。
私のお客様の中にも、身近な方々に迷惑をかけないで精算した後、その方々の協力によって、見事に成功された方を見てきています。

この問題を話すと必ず、モラルハザードのポイントをいう方もいらっしゃいますが、これも前記した葉月氏のブログの9月27日に同感のことを書いていらっしゃいますので、ご覧ください。

明日は私の友人でもある、何人かの金融業者の言い分や意見などにも少し触れてみたいと思います。



【葉月氏のブログ】
http://hazukikoh.ameblo.jp/

してはいけない資金調達のケース 2

3月6日

昨日お話をしました、借入金の返済をするために、高利の資金調達をするのは非常に危険であるという話の続きをしたいと思います。

なぜ二日にわたり同じようなことを書くかと言えば、類似する案件の相談が非常に多く、資金調達をすることが、未来につながらない、むしろ悪い状況に自身を追い込む危険な状況であると思われる方が多いからです。

最近、経済状況を原因とする自殺者が非常に多くなっていることは、新聞やテレビでも問題になっているところです。更に家庭崩壊など生活基盤を失った方も相当な数になると思われます。
このような方々の多くが、私見ですが、昨日お話をした状況を経過しているのではないかと思われます。

決して会社経営者だけの問題でなく、住宅ローンやカードローンなどの支払いが引き金になって家庭崩壊に至った個人のケースも多く、この問題は深刻な問題だと思います。

そこで、一昨年の案件の実例をお話ししたいと思います。
同じような状況に陥ったのに、対処した方法で全く違った結果になった実例です。

中堅サラリーマンのA氏とB氏の話です。
両者とも一昨年の2003年の春と秋にご相談に来られた案件で、消費者金融とクレジットカードの支払いのための資金調達を手伝って欲しいという依頼内容でした。
通常は個人の方へのお手伝いは、あまりしないのですが、両案件ともお客様の紹介だったのでお話を聞いた記憶があります。

両者の状況は若干違うものの、大筋は昨日お話をしましたように、転職や降格により年収が下がって、銀行などの住宅ローンの支払いが厳しくなたため、消費者金融やカードローンを借りたことがきっかけで、借入額が膨らんだ上、その金利水準も高くなり、両者とも借入額は1500~2000万円で、ほぼ年収の2倍から2.5倍になっている状況でした。
今後の収入状況を確認をしたところ、両者とも今の収入が減ることはあっても、上がる可能性は非常に低いということと、ご家族の方の別の収入もあまり期待できない状況で一致していました。しかし当面は安定した収入を、満足な額ではないが確保されていることは間違いのない状況でした。

このような状況ですから、弊社はお二人ともに、返済は断念して、民事再生法の個人版を検討してはいかがかと提案しました。
まさにこの法律はこのお二人のために作られたのではないかと言うぐらいに条件が合っていました。

まずA氏ですが、最初はマイホームを手放したくないとか、会社に知られると首になるかもしれないと懸念され渋られたのですが、民事再生の場合は住宅を残すことも可能で、会社に知られる可能性も高くないし、万一知られても何らかの不利益を懸念するリスクより、このまま高利の資金を借入れていくことによるリスクの方が、圧倒的に高いと言う説得に応じて、弁護士に相談され民事再生法の個人版を申請されました。

一方B氏は、ご本人は納得されたのですが、ご家族の反対もあって民事再生法の個人版の申請をしないで、資金調達をして返済を継続することを選択されました。ご家族が反対された理由はいろいろありましたが、最も大きな理由は地方都市に住んでおられたので、世間にばれて名士でもあるB氏のお父様に迷惑がかかるということだったようです。
今でも反省しているのですが、ご本人と紹介者のたってのご希望であったため、お父様とお父様の友人を保証人として、某ファイナンス会社から500万円の融資のお手伝いをしてしまったことを記憶しています。

この両者の現在は全く違った結果になってしまい、このことを契機に、「してはいけない資金調達を手伝ってはいけない」と確信した案件となりました。

A氏は弁済をしているので生活のゆとりはないものの、従来のマイホームに住み、従来の会社で働いていらっしゃいます。

一方、B氏は紹介者の話によると、一家離散状況でご本人の消息はつかめず、お父様も職と自宅を失われたと聞いています。
弊社でお手伝いしたとき以降の状況の詳細は分かりませんが、合法的でない貸金業者からの取立てが厳しかったという紹介者の話から推測すると、借入金が雪だるま式に増え、条件の厳しい金融会社の取立てに耐え切れなかったのではないかと思います。

B氏の場合ですが、もしご依頼のあった融資のお手伝いをしていなければ(ご自分でされたかも分かりませんが・・・)、その当時の借入金の借入先は、巷で大手の言われている金融機関がほとんどでしたので、結局は民事再生法の個人版を使われたかもしれませんし、特定調停やせめて弁護士に債務整理を委託するなど、少なくとも厳しい取立ての被害を被るようなことはなかったと思います。
この意味で、繰り返しになりますが、最終的にお客様の立場や状況を悪くしてしまう懸念がある資金調達のお手伝いを絶対にしないように肝に銘じた次第です。

この問題はまだまだお伝えしたいことがありますので、後少し関連の話題について書いていきたいと思っています。