地方間格差への対策 | 思うように資金調達ができない方へ

地方間格差への対策

前回の続きですが、資金調達の難易度と選択肢に、残念ながら東京と他の地域では地域間の格差があることは述べたとおりです。
銀行など金融機関は、このことを表向き否定するかもしれませんが、10年間資金調達のお手伝いをしていて、このことは本当に痛切に感じています。

ただ、ある一定の規模(事業内容にもよりますが年間売上10億円以上)を超えると、また違った可能性が出てくるのですが、特に間接金融での資金調達の必要な、会社設立から年間売上高3億円位までの、会社が成功するかどうかの大切な時期に、地方間格差があることはとても深刻なことと思います。

弊社でも、いくつもの地方の会社に無担保融資をお手伝いした実績がありますが、成功した企業を整理すると次のような結果になります。

・本社所在地が下記の地域のような、都市銀行の支店や拠点から近い場所にある。神奈川県、埼玉県、千葉県、札幌市、仙台市、大阪市、広島市、福岡市
・事業内容にオリジナリティーがあり、事業成功への具体性が明確である。
・直前期決算で年間売上高が最低でも3億円以上計上している。
・東京23区の、千代田、中央、港、渋谷、新宿、目黒など比較的都心に会社の支店があった。
・顧問税理士のチェックシートの添付があった。

まだまだ他の要因もありますが、主なものはこんなところです。

この中で、苦肉の策ではあるのですが、多額の融資を必要とする事業の場合は、融資を受ける最低6ヶ月以上前に、支店を東京の都心部に持つようにお薦めしています。
なんだくだらない方法と思われるかもしれませんが、この方法は非常に効果的で、数十件この方法でお手伝いができたのですから、経費がかかりますが
多額の融資が必要な状況であれば、馬鹿にならない方法だと思います。
ある業種ではこのような動向が顕著なので、実行している会社は結構多いと思われます。
開設する支店の最低条件や、立地する場所によっても融資の可能性が違ったりするのですが、このあたりはまた別の機会にしたいと思います。

結構その地域では有名な企業ですので、所在地や業種などは架空の話にしますが、実際にあった実例をお話します。
ある地方の人口100万人以上の都市に本社があり、店舗はその都市とその周辺、あるいは近県にあるA社の案件です。
当時A社は売上高は約120億円、経常利益は数千万円、ただ自己資本比率が5%弱。(店舗を急激に、しかも主に土地建物を所有で拡大してきたことが理由)当初取引を希望されていた某都市銀行のA社の本社がある都市の支店(現在は支店と言わない融資業務を主な業務にする空中店舗が多いのですが、馴染みのある支店という名称を使っています)に打診したのですが、多分格付けが良くないのが理由だと思いますが、ほとんど門前払いに近い形で断られました。

この会社は他の都市銀行とは既に融資残があったり当座取引があったため、(銀行のルールで、同一行内の2支店と取引ができないという項目がある)、打診して断られた銀行にだけ新規に打診できる状況でした。
やむを得ずリスク覚悟で、東京の渋谷区に支店を開設してもらいました。
もちろんこの支店の目的も必ず融資を受ける際に説明が必要ですので、この会社の将来的な営業、財務などの戦略拠点として位置づけ、できるだけ最低誰か1名は東京支店内にいるようにアドバイスしました。
この案件の場合は6ヶ月はかからず、支店開設の3ヵ月後に、東京の渋谷に近い銀行の支店から、無担保で2億円の融資を受け、現在はメイン銀行になっており、他行からの借換も含めて約15億円以上の融資を受ける状況になっております。おまけに現在は監査法人とも契約し2年後の上場に向けて、準備をしています。

このように絵に描いたような成功話はめったにないのですが、本当に東京支店開設作戦は、現時点までは成功の確率が高いことは事実なので、多額の融資が必要と思われる会社の経営者の方は検討されたら良いと思います。

次回も公的資金には進めず、地方都市の会社の直接金融のことなどのお話しをしたいと思います。